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チビキャスト・ママさんの親子留学・体験談

"疲れた"という気分になれたのも、今こうして少し安心できたから、その感覚が出てきたのだろう。娘は麻酔のせいもあってあれからずっとウトウトしている。日本を出発する前から、友人のWeddingや友人が泊まりに来たりで、少々疲れ気味だったけど、今回のアクシデントには本当に肝を冷やした。切開手術を免れたのは不幸中の幸いだったと思いたい。
 

関空からバンクーバーの機中、座席のリクライニングが壊れていた時から、今回の旅行はいつもと何か違うような気がしたのは錯覚ではなかったのだ。唯一の空席に移ったものの、パテション一枚裏にあるトイレ。そこに来る絶え間ない日本人おばさん連中の、他人の迷惑も全然考えない話し声、笑い声。1分1秒とも眠れない10時間近いフライト。それでも娘が寝息をたてて眠ってくれているのが、せめてもの救いだった。
 

到着は20分遅れだったけど入国には長蛇の列。予定に1時間遅れ、ようやく出口にたどり着いて、カレンとKさんを探す。1時間も待たせちゃって、もう諦めて帰っちゃったかな、と内心心配しながら・・・私の名前を書いたプラカードを持った小柄のKさんを発見!「遅くなってすみません」という私に「1時間なんていいほうよ。長いときは3時間20分待ち続けたのよ」と笑って出迎えてくれるカレン。ホストファミリーには恵まれたと直感した。その通り、カレンとKさん、家族の皆さんには自宅に到着して10分とたたない内にこんなにご迷惑ご心配を掛けることになろうとは、その時は夢にも思わなかった。
 

ホストファミリー宅に到着後、挨拶を済ませ、スーツケースを開けようとしていると、娘が痛みに顔を歪め、涙を流して部屋に入って来た。「木から落ちた。痛い、すごく痛い。」ワーワーでなく、もう声にならないような感じのヒーヒーという声で。これはただ事ではないとピンときた。ベッドにゴロンと倒れ込み、うずくまる。急いでアイスノンを持って来てくれるカレン。保険の手帳で調べて連絡を取ってくれるKさん。2人がまだ家にいる間の出来事で、事はスムーズに運んでいく…。
 

保険の担当者に連絡がつかないし、EMG(救急病院)は待たされるから、先にホームドクターへ行く。他の患者さんを差し置いて、直に診てもらえたけど、X-rayが必要だからと、結局EMGに行く。「ここがEMGよ。自宅から近いのよ」なんて説明してくれながら通ったさっきの病院に、まさかホントにお世話になるなんて。
 ひたすら待ちつづける私達。X-rayで骨折しているのはわかっているんだから、早くこの痛がっている私の娘を何とかしてちょうだい。どこがEMGなんだ?なんなのこれ?と言いたくなるけれど、確かに周りは命にかかわるようなPatientばかりのようで、「腕一本」は後回しになるのか。病院のスタッフも「お腹空いただろうし、サンドイッチでも用意しましょうか」などと一応は気遣ってくれているのは分かるんだけど、食欲なんかあるわけもなく、ただとにかく何とかして欲しい。早く、お願い、早く・・待ちつづける事5時間半。結局整形外科医は手術が終わらず、現われなかった。娘は診て貰えず、痛み止めの薬を飲み、腕を仮固定し、明朝8時、再診して貰うことに。手術になる可能性があるので、痛み止めの薬以外は、夕食後一切飲食厳禁と言われる。
 

帰宅して気づいたのは、なんとその日はカレンの誕生日だということ。娘のケイトリンや皆が協力して食事や掃除をし、プレゼントを準備して、ささやかなお祝いをしようという、その大切な日に、カレンとケイトリンを夜9時半まで病院で過ごさせてしまった私達親子。Kさんは子どもを友人宅に預けて、私達をサポートして下さった。来て早々、なんて迷惑な私達…。それにもかかわらず、皆さんが娘の事を心配して下さって、気遣ってくださる。心の温かさが身にしみる。初めて会ったばかりの人なのに昔からの友人のよう。
 

初日の病院の待遇で、すっかり病院嫌いになってしまった娘は、痛みもあって四六時中メソメソ泣いてばかリ。手術は1時からということで、カレンが一度家に帰れるよう交渉してくれたため、しばらく自宅のベッドで休めることに。手術やいろんな事に掛かる費用の説明を受け、治療費無制限の保険に入っておいて"助かった"と思うと同時に、医療費がVISAで支払える事にも救われた。一日入院するのに2000ドル。日本円で17万も掛かるなんて。日帰り手術だったからよかったけど、結局トータルすると2000ドルはかかった。
病院からコールを受け、再度足を運ぶ。娘は「行きたくない」を連発。泣いてばかりいる彼女を見かねて、Kさんが真っ白なとってもキュートなネコのぬいぐるみをプレゼント。怪我の後、初めて娘の笑顔を見た。ニーニーと名づけたそのネコとテディベアと一緒にナースに手を引かれ、手術室に入っていく娘の後ろ姿。なんでこんなことになっちゃったんだろう。今頃プールに入って、庭を駈けずり回り、笑い転げているはずなのに。ドアが閉まったとたん、思わず私が子供のように、カレンの腕の中で泣きじゃくってしまった。
 

それにしても医療用語は私にとっては初めてのことばかりで、理解に手間がかかる。いつも側についていてくれたカレンが分りやすく医師の言葉を説明してくれて、Kさんを通して私が正しく理解しているか確認する。日常会話はある程度自信があったけど、病院スタッフ、ドクター、保険会社との連絡など、娘の事で頭が混乱している私に代わって、カレンとKさんがとにかく奮闘して下さり、本当に心強く、助かった。2人の協力なくしては、今回のアクシデントは乗り越えられなかったと思い、感謝の念で一杯だ。
 

16日の午後バンクーバーに到着してから3日間は、病院とカレン宅で過ごした。腕のつけねから指のつけねまで、利き手の右手をギプスで覆われていて、全ての行動に制限され、日本から持ってきた服、パジャマさえ着られなくなってしまった。前開きの服が急に必要になった。日本は女の子の前開きワンピースなんかいくらでも売っているのに、カナダではほとんど見ることがない。そんな時、Kさんが「うちの子どものでよかったら」と前開きの服を何枚か貸してくださることに。ホントに何から何まで面倒を見ていただいて…。なんとお礼を申し上げればいいのやら。

4日目からようやく外出できるほど、娘が回復してきた。残すところ一週間。デイケアで忙しいのに、カレンは私達の為に時間を割いては、観光に連れて行ってくれる。明るく、おしゃべりずきで気さくなカレン。ユーモアのセンスもあって、いつも笑いが絶えない。それでいて優しくて頼りがいのある素敵な女性。娘も私もこの10日間でカレンが大好きになってしまった。カレンのファミリー、周りにいる人達もとても温かく、アクシデントにもかかわらず、カナダでの想い出は、なぜかすがすがしいものばかり。別れの前の晩、カレンと二人涙して抱き合い別れを惜しんだ。
 

帰国後、二つの病院で言われたのが「どうやって治したの?日本なら間違いなく即、オペだよ。」「切開、ワイヤー固定なしでもとに戻したの?信じられない」と。今になって、丸1日待たされたけど、病院スタッフの言う通りDr. Thompsonは名医だったのねとあらためて感謝したい。

もうすぐ1ヶ月近いギプス生活ともサヨナラできそうです。今回のステイは私達親子にとって、一生忘れる事の出来ないものとなりました。娘も「今度カレンに会う時は、もっと英語上手になって、たくさんお話したい」と言っています。次はデイキャンプに入って欲しいなと私は考えています。主人が長期で出張の時は、必ずや再ステイに参ります。あんまりいいことばっかり、カレンとKさんについて書くと、顧客が増えて私達がステイできなくなると困るので、この辺にしておきます。
でも、やっぱり
You Two Are Wonderful!!! Thank you so much for everything. See you again!! 
    
ママと7歳のチビキャストちゃんは、2004年8月中旬に10日間カレン宅で親子ホームステイを体験されました。

今回このようなことは私にとっても初めてで、実は私自身も医療用語の難しさを認識させられました、もっと勉強しなければ・・・と。それにしても、わずか1メートルぐらいの木から落ちても、落ち方次第では腕の骨も折れる。親子ステイは何事もなければ、楽しい思い出だけを満喫できますが、今回はそうでなかったので、できる限りのことはしなくては・・・という気持ちでいっぱいでした。今、チビキャストちゃん、そしてママさんの心に、カナダがつらかった場所でなく、とても温かい場所と感じて下さって、私にとっては何よりです。本当に次回お会いする時は、100%楽しいことばかり体験していただきたいと思います。ご丁寧な体験談をありがとうございました。

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